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SYU's TraveLog.
登録08.02.29
3日目・突然の針路変更、南南東に進路を取れ?
ヴェネチアに行かなければならないがユーロナイトで行くとホテルに一泊する以上のお値段がかかる。
しかし、このままパリに留まっても宿泊費がかさむだけだ。
もちろん本日中に移動できるだけ移動してもかまわないのだが、光君は ユースホステルのある街を把握していない。
ちなみに、土屋先生はこの日レオ・ラグランジュのユースホステルが予約でいっぱいになっているのを確認しているが、それを光君に言うことはないだろう。
間違って光君がパリに留まるという選択肢を取った瞬間にとてつもなく痛い目にあうのが確定する。
「どうすっか?もう一泊する?」
「おー、いいね。じゃあそういうことで。」
「・・・まった。やっぱし行こう。そういや二等席はもう少し安いかもしれないし。」
そういって再び窓口に向かう光君。二人ともユーロパスが一等席用だったために二等席を取ろうという思考が働かなかったのだ。
「・・・んで、どうしようもなかったら一等席でいくしかないか?」
「そうだね♪(予算が楽しいことになるけどね)」
以下光君フィルター会話
『おっちゃん、ユーロナイト二等席とかどうよ?安いんじゃねぇ?』
『確かに一等席よりは安いですが・・・残念ながらただいま一等席・二等席ともに満席になりました。』
『マジかよおっちゃん!!』
『はいじゃあまたあとで。』
どっかいけとジェスチャーするおっちゃん。
『いーやまてまてまてまて、えっとだな・・・』
(この場合、安くて夜行ならどれに乗ってもよいわけだが・・・ニース経由とかならあるんじゃねぇか?)
『ニースの方にいく夜行は?』
『しばらくお待ちください』
パソコンに向かいカチャカチャとキーボードをたたくおっちゃん。それを祈るような目で見る光君。
『・・・ありますね。一等席でお一人様17.5ユーロです』
『おっけぇ!!それで。それください。』
『かしこまりました。それではチケットはベネチアまでお取りいたしましょうか?』
『ああ、頼みます』
『お二人ですね?』
『はい。』
カチャカチャとパソコンのキーを打つ音がしばらく響く。
『・・・合計で51ユーロになります。』
『何でやねん!!』
額をぴくぴくさせながら振り返るおっちゃん。
『だーかーらーね、ボウヤ。よっく聞けよ。予約で4ユーロかかるのはアンダースタン?』
『おーいぇー・・・』
『ニースからミラノまでの列車で座席予約4ユーロ。ミラノからベネチアまでさらに4ユーロだよ!!』
『あの・・・予約なしってのは・・・』
『ここではできないね。どうすんだい?とっととしな。』
『じゃ・・・しゃあそれで。』
すごすごと51ユーロ払う光君。
『ついでに電車はオーステルリッツ駅からでるから。間違えんようにな。』
『めるしー、おっちゃん。』
「つっちぃ・・・何とか手に入ったけどあんまし安くなかった。ってかぶっちゃけユーロナイトのほうが得だったかも・・・ちなみにニース経由ね。」
「まぁいいんじゃない。ニースにいけて儲けものだよ♪よくやったよくやった。」
「ニースからミラノに行く列車で乗り換え、さらにミラノからベネチアに行くのも乗り換え。」
「ばっちりだね。」
「でもそのせいで座席の予約代金として4ユーロずつ二回かかった。二人分で16ユーロ。」
「まぁまぁ、そのぶんいろいろ回れるし。」
ちなみに、急行(予約不要)国境付近まで行き、ローカル線で国境を超え、そこからまた急行で移動という形を取れば予約代金はかからなかったのだが、このときの光君にそれを考えるだけの余裕はなかった。
「出発は夜の9時。結構おそいなぁ・・・」
「まぁまぁ、時間があるのはいいことじゃないか。」
目がギラギラ光る土屋先生に光君は気付いていなかった。
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