SYU's TraveLog.
登録08.02.25
3日目・リヨン駅到着・・・そして
しばらく川沿いを走っていると左手に時計塔が見えてきた。
「確かあの大きな時計塔がガラ・デ・リヨンなはずだ。」
いつもならなんそんな助言は絶対にしないはずの土屋先生。
「えー?めっちゃ駅っぽくないんだけど…ってか線路みたいなものないし。」
「じゃあ先に進もう。」
あっさりと光君の言うことを肯定する土屋先生。その顔はものすごくうれしそうだ。
「…いやまて、やっぱし確認していこう。」
「いや別にいいってば、ほんとに、もう、なんてーかさぁ、ほら!!」
あからさまな土屋先生の反応にさすがの光君も何か感じたようだ。
「理論的に考えれば確認していくのが正しい。」
きっぱりと言い切る光君と、とりあえず黙る土屋先生。
二人は時計塔に向かい自転車を走らせる。
そして見つけたのがGare De Lyonの看板。
「はらね、やっぱり。」
胸を張る光君。
「ウンヨカッタネ。トテモヨカッタヨ。」
棒読みの土屋先生。
なにはともあれ無事ガラ・デ・リヨンまでたどり着いた二人。
駅構内、自転車を転がしながら窓口へ向かう二人。
「よーし、これで無事ベネチアに行けるね。」
「うん、確かにね。」
土屋先生は微妙な表情だ。電車での移動にトラブルがあっては困るが、このままではつまらない。その二つの感情の板挟みとなっている。
「寝台席とらないで座席の予約だけですめばやすいかな?」
「そうだね、10ユーロくらい?」
二人はベンチに座り、行き先と列車の出発時刻の確認をする。
「あ、ツッチー、昨日のチョコレートのよくわからない食べ物、あまってるんだけどいる?」
そう言って光君が出したのは昨日の昼Pontorsonで買ったババロアのようなアレだ。
なにやら明らかに要冷蔵っぽい食べ物だが、季節が季節なので平気だろう。
土屋先生は夏の室温で2日放置してねばねばした牛丼を食べてもおなかを壊さないくらい丈夫だし。
「いいの?もらっても。」
「うん、ってか・・・それあんましおいしくなかった。甘すぎ。」
「・・・さんくす・・・ってか・・・最後のセリフさえ言わなければほんとにありがたいんだけどなぁ・・・」
余計なところで一言多いぞ光君。
電車の出発時刻を確認した二人は窓口へ。
ちなみに、ずらーっと並ぶ窓口のうち英語が通じるのは一番左のひとつだけである。
英語の通じる(っぽい)窓口はイギリスの国旗が飾られている。
そして窓口でベネチアへのチケットを手配しようとしたときにそれはおこった。
「38ユーロです。」
以下光君フィルタでお送りします。
『…ハイ?』
『いえですから38ユーロです。』
『いや、あの、ほら、これレイルパスでね…』
『承知しております。寝台席ご予約で35ユーロです。』
『ふつうの座席って…ないの?』
『ちょっとさぁ坊や?あるわけないだろ?ユーロナイトだよ。全席指定の。それも国境またぐよ?そんなにお安いわけがあるとでも思ってる?』
突然がらりと雰囲気の変わる窓口スタッフ。
『…ってことは?』
『あるのは二種類だけ。一等席か二等席かだ。乗る?乗らない?とっとと決めな!!後ろがつかえてんだからよ。』
窓口のおっちゃんが言うとおり彼の後ろには数人の旅人が。
『ちょとお財布と相談してきまふ…』
すごすご撤退する光君。
どんよりした顔で土屋先生の元へ戻る。
「ツッチー…」
「聞いてたよ。どうする?」
「予算もたねーんじゃねぇの?」
「そうなんだぁ♪」
光君の問いかけに対し答える気など毛頭ない土屋先生。心なしか上機嫌。
『役にたたねーなこの人も。ってかそうか、俺が連れてってあげることになってんだもんね…』
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