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SYU's TraveLog.


登録07.07.07
初日・レンヌ到着、一難さってまた一難


光君  :・・・

黙々と折り畳み自転車を組み立てていく土屋先生の横で沈痛な表情でたたずむ光君の姿があった。

光君  :ツッチー・・・

土屋先生:どうした、もうすぐ終わるからちょっと待っててくれ。

光君のただならぬ様子に気づきながらも、自分の作業を黙々とこなす土屋先生。彼も光君が何を言いたいのかに気が付いたようだ。
自分の自転車を組み上げ、懐から小型のデジカメを取り出しながら光君の方を向く土屋先生。

土屋先生:何かトラブルか?

光君  :自転車の鍵・・・なくしちゃった・・・

消え入りそうな声で言う光君。
さすがにこれはまずいか?
ここで自転車が使えないというのは。
それも『鍵をなくした』というかなり間抜けな理由で。



そしてその言葉を聞きながら土屋先生は・・・折り畳まれたままワイヤーロックで固定された自転車の写真を撮り始めた。

光君  :あの・・・ツッチー?

土屋先生:・・・おもしろい!!

光君  :・・・え?

あっけにとられる光君。



土屋先生:今日一番の面白トラブルじゃないか!!いやー、このまんま何にもなかったらどうしようかと思ってたんだよね。さすがだ光君。僕の考える最悪の事態の右斜め上あたりをついてくるなんて、そうそうできるもんじゃない。

本気でうれしそうな土屋先生。

このまま何にもなかったらとはどういう意味ですか?あなたの中では今日は 何もなかったのですか?どういう神経してますか?


光君  :あの、それでこれからどうしたら・・・

土屋先生:どうする光君、これからどうすればいいと思う?

不気味なくらいうかれている土屋先生に光君はちょっと安心した模様。
こんな見知らぬ土地で責任追及されなくてよかったね、光君。

・・・まぁこんな土地でこんな人と旅をする事になったのが幸運であるとは言い難い気もするが・・・

光君  :えっと、この場合一方の自転車が使用不能になったので・・・自転車は破棄して・・・

そう、旅行にくる前に二人の間では約束事があったのだ。

どちらか一方の自転車が使用不能な状態に陥った場合はお互いに相手を責めることはせず、二人とも自転車を破棄すること

しかし、今まで必死にかついできた自転車。このまま破棄するのはあまりにも・・・



土屋先生:はっはっはぁ、まだまだ全然平気じゃないか。 かついで持ってきゃいいんだよ

と言いながらおもむろに光君の自転車を肩に乗せる土屋先生。
光君には自分の自転車を押して歩くように促す。さすがにここで『お前がかつげ』と言わないところは土屋先生が先生としての自覚を持っているということか?それにしてはお顔がやけにうれしそうなのが気になりますが・・・

「じゃあ光君はそっちの自転車に乗って、近くのホテルを探してきてよ。」
こわいから一人で行くのはやだ。」
「・・・」

えーっと、それはまずいと思うぞ光君。
この場合、君が宿を探してくることで、失点をカバーできるのではないのか?

「しょうがない、一緒に走るか?」

自転車をかついだまま、小走りに移動する土屋先生。そしてその横を自転車に乗って走る光君。土屋先生、あんまり無理しない方がいいですよ。



駅前の通りには数十メートル間隔でホテルがある
一件一件空き部屋がないかとたずねる光君。
そして光君がホテルのフロントに行っている間にこっそり体力回復をはかる土屋先生。

このままでは土屋先生がもたないぞ、どうする光君!!
っていうかそろそろ無茶なパフォーマンスはやめませんか土屋先生・・・




そして幸運にも泊まれる宿を発見。
本日の行程は無事(?)終了しました、おめでとう光君。

「二人で65ユーロだ。」

宿屋の親父さんが提示した金額は日本円にして約1万円。
しかし二人とももう限界を超えているため、ここは涙をのんで支払う。



ここで二人が気になったのは、自転車の保管場所。
ロビーに置くわけにもいかないだろうし、かといって外においておくのは物騒だろう。

「部屋にもっていきな」

宿屋の親父はそう言って、彼らに部屋の鍵を渡した。
部屋は・・・3階である。
そしてこのホテルにはエレベーターがない。
最後の気力を振り絞り、階段をえっちらおっちらのぼる二人。



部屋に着いた途端、光君はベッドに向かってバタンキュー。
うむうむ、良く頑張りました。

そして光君は、土屋先生から本日あったトラブルの半数以上が彼によって仕組まれたことを彼の口から聞くのである。

光君  :ツッチーそれってひどくないか?
土屋先生:そういう約束だったろう?手助けはしないって。もちろん邪魔はしてないぞ。
光君  :だまされた!!もっと楽しい旅行だと思ってたのに!!
土屋先生:騙してはいないさ。辛い旅になるって、日本を出る前に言っただろう?
光君  :そりゃあそうだけどさ・・・
土屋先生:まぁ今日はこれだけいろんなことがあったんだ。辛いのがわかっていれば、もう何とかできる自信はついたんじゃないのか?

しばし考え込む光君。



そしてベッドから起き上がり、持って来たものの点検を始める光君。

今日は何とか乗り切ったが、既に予定よりも予算をオーバーしてしまっているのだ。もちろん予算だけではなく、今回の旅の行程も大きく狂い始めている。

明日からの旅はもっともっと過酷なものになるかもしれない。
それに正面から立ち向かい、打ち勝たなければならないのだ。

がんばれ光!!
そして無事に日本に帰ってくれ。


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