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SYU's TraveLog.


登録07.12.14
2日目・土屋先生、痛恨のミス?


とりあえずフランソワさんに教わったとおりに 移動を始めるように見える土屋先生。

実は彼はこのあたりはすべて調査済みなので、フランソワさんの話をまったく聞いていないにもかかわらず、まるで彼の話をちゃんと聞いてるかのように移動を始める。

光君も当面の宿が確保できたことで安心したのか、それとも極度の疲労のためか、落ち着いた様子で土屋先生のあとに続く。

時間帯としては深夜に近いわりに電車はすぐに来た。

さすが首都。



電車が来るまでの間に二人は自転車を折りたたむ。

実はフランスは日本と違って、ママチャリをそのまま持ち込む人もいるそうなので、このあたりは二人が日本人である常識にとらわれていると言えるかもしれない。

もちろんトラブルを起こさないようにするという面ではこの行動は正解だ。

彼らは「万が一自転車を持ち込むのを禁止されていた場合」に備えているのだから。

・・・ってかその辺はなぜか調べてこない土屋先生。

微妙に抜けているというかなんと言うか・・・



電車が来てそそくさと乗り込む二人。

人が少ないこともあって 態度LLだ。

光君は座席を二個占有。

土屋先生はそれを見ながら 『何か起きないかな』と虎視眈々である。

光君は体力的にも相当まいっているようで、眠らないようにするので精一杯の様子。

そのとき土屋先生が電車内の広告に目をとめた。

「光君、左の壁見てみ。」



Do you speak English?

英会話の塾の宣伝のようだ。

「ん?うお!英会話スクールの宣伝?」
「こっちにもちゃんと英会話の学校あるんだね。」
「ってこたぁ・・・あれだ。フランス人、プライドが高くてしゃべれても英語を話さないわけじゃなくて、頭悪くてしゃべれないけど、えらそうにふんぞり返ってるだけってことなんだ。」
「・・・」

すばらしい論理の飛躍に思わず言葉を失う土屋先生。

確かに、今回の旅では英語が通じないことが多かったけど・・・そこまで言い切らなくてもいいのではないだろうか?

というかそのせりふ、土屋先生がもうちょっとソフトに言おうとしていたのでは?

「まぁしょうがないか、フランスってのはもともと農業国でほかの先進国と比べても・・・」

「おっと、光君。降りるぞ。」

目的地に着いたのか、土屋先生があわてて電車を降りる。

「わっ、ちょっとまってツッチー!!」

「ほらほら、早く早く!!」

光君を急かす土屋先生。

電車を降りたら降りたでどんどん先に行ってしまう。

自転車を抱えながらあわててついていく光君。

そのとき、光君の目に駅の名前が映った。

Le Kremlin Bicetre

(・・・って この駅じゃないじゃん!!)

なんとか土屋先生を止めに入ろうとするのだが、光君の声の届く範囲に土屋先生はいない。

なんとか追いついた時にはすでに土屋先生は改札の目の前だ。

「つっちー、ここ、違う、駅違うって!!」

「ん?そんなことないって」

「いやいやいやいや、マジここじゃねーから!!フランソワさんが言ってたべ、レオ・ラグランジュ!!ここレオもラグランジュも書いてねーし!!」

結構必死になる光君、さすがに本日のトラブルはこの辺で終わりたいところなのだろう。

「またまたー。ここだよ」

そういってとっとと改札をでる土屋先生。

「ってか人の話聞けよ!!」

怒鳴りながら光君はふと思った。

(・・・この人・・・ トラブルを乗り越えられるんじゃなくて・・・トラブルがあったことを気づかないだけなんじゃ?)

それを考えてふと背筋が寒くなる光君。

実際にはそんなことはなく、人の話を聞いていないだけだ。光君の心配は空振りなのだが、それはそれで致命傷の感はあるかもね。



必死で止める光君をまるで気に留めていない土屋先生は、久しぶりのパリの町並みに懐かしさを感じているようだ。

そのうしろでは半ギレの光君が。

「ねぇツッチー?」
「どうした光君?」
「ユースホステルの名前覚えてる?」
「んーとね、 レオ・ラグランジュだよ」

「そうだよね、レオ・ラグランジュ!!だよね。レオ・ラグランジュは次の駅だっつーの!!

「あ、ホント?ここだと思った。」

土屋先生の調べではそうなのだろう。が、現地の人の言うことが正しいに決まっている。

「ってか戻るよ!!ツッチー!!」

そういって再び地下鉄に戻ろうとする光君。

「えー、もったいないよ。一回出ちゃったし。一駅だし。」

「ってか止めたのに改札出たのはあんただろーが!!

「まぁまぁ、ここはひとつ、たった一駅なんだから走ってみようよ。チャリもあることだし。」

「いーや、だめだね!!ここは安全策で行くべきだと思う。」

「またまたー、さっき言ってたじゃん、『お前がやれ』ってさ。」

そう言ってさっさと走り出す土屋先生。

悲壮な顔で仕方なくあとに続く光君。

「任せろって、どーんと大船に乗ったつもりでいてくれよ。」



・・・

・・・

そしてその大船は・・・

・・・見事に進路を見失っていたのだった。

「だーかーら、さっき地下鉄にのっときゃ良かったんだってば!!」
「まぁまぁ、 ドロ舟にのったつもりで気分をゆったりとだね。」
「ってかそれ 沈んじゃうでしょうが!!」

はたから見ていれば漫才なのだろうが、光君にとっては地獄である。

一時間も走ったころだろうか?

土屋先生がところかまわず声をかけて聞きまくったのが功を奏したのか、目的のユースホステルは見つかった。

実際には降りた駅からもそう遠くはなかったのだが、彼らが発見に手間取ったのには理由があった。



周りの建物と違い、夜ライトアップされないのだ。

真夜中に地図もなく探すのは一苦労である。

彼らは何度かこのユースホステルの前を素通りしている。

一歩間違ったらこのユースホステルの目の前の公園に野宿だったかもしれないのだ。

部屋が取れてから、ぼろ雑巾のようになった心と体をベッドに沈め、光君は再びあの言葉を思い出した。

( Plan・Do・Checkって・・・ 本当に自分でやるのが大事なんだな・・・ってか・・・あの人に任せたらとんでもないことをさせられる。)

うん、おそらくそれは正しいね。二日目でそれに気づいたのは幸運だったろう。その認識があれば 森の熊さんと鮮血のダンスパーティーを催すような最悪の事態は避けられるだろうから。



ここで光君の二日目は終わる。

しかし、土屋先生の夜は終わらなかった。

ユースホステルにはたいてい一階にロビーがあり、そのロビーで若者たちは交流を深めるのだ。

もちろん土屋先生がそのチャンスを逃すことはなく、満身創痍の光君が寝たのをいいことにそこでお祭り騒ぎをしていたのだが・・・そこは今回は割愛しておく。



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