SYU's TraveLog.
登録07.07.07
初日・シャルル・ド・ゴール国際空港⇒パリ
シャルル・ド・ゴール到着
税関も入国審査も拍子抜けするほど簡単に終わった。
荷物をカートに乗せ意気揚々の光君。
そして土屋先生を振り向きながら、
「ツッチー、これからどっちに行けばいいの?」
「調べとけって言わなかったか?」
いつものにこにこ顔が消え、刺すような目で光君を見る土屋先生。
そして写真は笑顔を凍りつかせる直前の光君の姿。
「あ、ええっと、とりあえず外出て見ようか?」
そそくさと歩きだす光君。彼の表情から笑みが消え、慌ただしく瞳が動き始める。まず案内板を探し、行くべき先を決めねばならない。そして彼が見つけたのはバス乗り場。
「とりあえず外に出て見よう」
黙ってついていく土屋先生。この時光君は初めて事の重大さに気が付いた。
「土屋先生がお前を連れてくんじゃない。お前が土屋先生を連れて行くんだぞ。」
父親の言葉が彼の頭でよみがえる。あのときの言葉の意味が今、彼には痛いほどよく分かる・・・というか痛すぎる。
「いいか光、勉強だけじゃない。仕事も人生もプラン・ドゥ・チェックが大事なんだ。プラン、計画し、ドゥ、実行し、結果をチェック。そしてその繰り返しだ。忘れてはいけないぞ。」
(親父・・・プランすら・・・できてないよ・・・どうすればいい?)
もちろん答えは出てこない、彼は今頼れるものが何もない。まさに四面楚歌。前門の見知らぬ土地、後門の土屋先生。まさに絶体絶命だ。
光君 :あ、ほらほら。バスがある。
土屋先生:鉄道パスはどうするんだ?それに余計な金を使っている余裕があるのか?
言葉に詰まる光君。確かに余計な金を使っている余裕はない、それ以前に空港からTGV(フランスの新幹線)に乗る予定はどうするのだ?
「あ、えっと」
しばらく固まる光君。それを横目に見ながら土屋先生は時計に目をやった。そしてニヤッと笑いながら光君に声をかける。
「まずは空港から出ている鉄道を探さなきゃな、空港内に戻ろう。」
素直にそれに従い空港内に戻る光君。
必死で列車乗り場を探し、そして見事発見!!
土屋先生もさすがに見かねたのか、彼への助言は的確だった?
列車乗り場に向かいながら安堵の表情を浮かべる光君。
シャルル・ド・ゴールの長い通路から見える景色がようやく目に入る。
ちなみにシャルル・ド・ゴールは迷いやすさでは世界で1・2を争うらしい。普通に旅をする人には迷惑この上ない。
もちろんトラブルが大好きな人たちにはその限りではないのだろうが。
ここでおさらい、本日の目的地。
まずは現在の所在地がParisの少し東にある、シャルル・ド・ゴール空港だ。
そして目的地はモン・サン・ミシェル(Mont-St-Michel)の海岸沿い、すぐ西にあるサン・マロ(St Malo) 。
列車はパリからレンヌ(Rennes)を通り、サン・マロが終着点となる。
やっとの思いでたどり着いた駅・・・しかし、ここでも更なるトラブルが。
「日本語くらいしゃべれよ!!国際空港だろ、ここは!!」
日本語が通じずにいらだつ光君を尻目にたびたび時計に目をやる土屋先生。
「・・・ハズ ゴーン。」
首を横に振りながら窓口のスタッフ。
以下は日本語訳(光君主観フィルター)でお送りします。
「いっちまったよ、たった今。」
「まじかよ、おい、何とかなんねーのか?」
「そーだなぁ、もしかしたらパリの市内からでるTGVなら ギリギリつかまえられるかも知れねぇなぁ。どうだ、兄ちゃん?行って見るか?トライして見るか?」
「あたりめーだよ」
と言って踵を返そうとした光君に、スタッフが声をかけた。
「にーちゃん、地下鉄のチケットは持ってんのか?」
「あ、こっちはユーロパスもってんだよ、一等席まで乗れるパスをよ。」
「乗れネーゾ」
「あ?」
「地下鉄は別系統なんだよ、お前らのチケットじゃ乗れネーっての。」
「じゃあよこせよ。」
「一人1.05ユーロだ。」
「ちっ、しょうがねーな」
何とか目的地までの経路を再設定できた光君。
横でうんうんうなずく土屋先生。
って英語でよくまぁこれだけしゃべれるもんだな光君。見直しちゃったぞ。
でも・・・実は駅のおっちゃんは他にも重要な情報くれてたぞ・・・君には聞き取れてなかったみたいだけど。ちなみにその情報を聞き取った土屋先生は後ろでニヤニヤ。時計を見ながら何事か考えている。
・・・光君の運命やいかに?!
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