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SYU's TraveLog.


登録07.08.21
2日目・モン・サン・ミシェル


たどり着いたモン・サン・ミシェル。
威風堂々とはまさにこのことか、近くに立つとその大きさが際立つ。
モン・サン・ミシェルは修道院なのだが、島のふちを囲むように作られた城壁(城ではないけど)が島そのものをまるでひとつの城のように見せているのだろう。

城門(しつこいようだけど城ではない)を前にしてここまでたどり着いた達成感にひたる光君。彼にとってはこれがはじめての自転車での旅であり、一つ目のチェックポイントである。


そして城壁の中へと足を踏み入れたそのとき、一番最初に二人の目に映ったのは・・・

あんないじょりょうがえ



光君  :・・・どんだけ馬鹿にされてるの?っていうか何でひらがなよ?
土屋先生:まぁまぁ・・・田舎だししょうがないんじゃないの?

確かにこんな田舎ではしょうがないのかもしれないが、でも調べれば漢字くらいかけてもいいのではないだろうか?それ以前に漢字で書けば中国人も読めるのではないだろうか?ものすごく好意的に解釈して、3歳児にもやさしい観光案内掲示板といったところなのか?


気を取り直して2つ目の門へ。
レンガで造られた2つ目の門はこれぞ中世の建築物といったおもむきである。
そして二人は・・・飯屋を探して中へGO!!
かねてモン・サン・ミシェルで食べようと計画していた 例のものを探して城内を歩き回る二人。



実は歩き回るといっても、ほとんど一本道でその左右に商店が軒を連ねているといった形だ。日本の軽自動車でもぎりぎり通れない程度の幅の道が結構な急な傾斜で続く。

ツッチー、ここだ!!ここここ!!ル○ンがスパゲッティー食べてた店があった通りだ。
ああ、確かにそうだね。ここがモデルになってるんだね。ルパ○みたいにスパゲッティーを食べたいねぇ。ミートボールつきの。

ばっちり観光気分の二人。金があったら食道楽をしてしまいそうな二人。しかし 例のものはいまだ見つからず。


光君  :あ・・・

何かを発見した光君。値段表を見てしばらく固まる。

光君  :うーん・・・つっちー?

土屋先生の方を振り向く光君。



振り向いた先には水を飲みながら、 何かを考えている土屋先生の姿が。

そう、 何かを考えていますよ、土屋先生が・・・

それには気づかずに話を続ける光君。

光君  :ホットドック食べない?

にやりと笑う土屋先生。

土屋先生:いいねぇ、食べちゃおうか。

さらにニヤニヤと笑う土屋先生。ちなみにこの『ホットドック』は 例のものではない。つまり、ここでホットドックを食べるというのは 予算が減るというのに他ならない。


そして二人は店の中へ。
お値段は・・・

2ユーロ

光君  :ツッチー、半分こしよう。
土屋先生:いいよ、そうしよう。

ここでは賢明な判断の光君。
土屋先生にも同じ予算を使わせておけば、後々困ることはないだろうと踏んでのことだろうか?しかし光君、土屋先生は 『一ヶ月絶食ダイエットとかやって10キロ体重落としてみたり』するのだよ。予算が同じように減ったからって安心はできないよ?



そして二人でホットドックを半分こ。
ちなみにホットドックはカウンターの向かって右側にあった、搬送用エレベーター(もちろん人は乗れないサイズの)で下の階から運ばれてきた。入って一度も階段を上がってないのに 下から来るというのはかなりインパクトが強かったらしく、二人ともしばらく硬直していた。

しかし空腹のためもあってか、ホットドックを手に取る二人は幸せな表情を満面に浮かべながらほおばりまくる。土屋先生も このときだけは悪魔のような笑いは消え去っていた。



ホットドックをほおばりながら二人はさらに上へと登っていく。
この島は基本的に一本の道が単調に上り坂になっているので、行く先はずっと上り坂である。
その途中で外の景色を見て足を止める土屋先生。

土屋先生:光君、ここまで来るとこの島が湖に囲まれているのがよくわかるね。
光君  :ほんとだ、結構いい眺め。

しばらく風景を満喫し、さらに上へと登って行く二人。
実はまだ修道院まで来ていないのだ。



そしてたどり着いたのは修道院の入り口。
半開きになった門の先へと歩みを進める二人に、受付のおばちゃんが声をかける。

ちょいとあんたたち、二人で16ユーロだよ

耳を疑う光君。

土屋先生:どうする?やめとく?

意地の悪い笑いを張り付かせて光君に判断をあおぐ土屋先生。

光君  :・・・そうだね、やめとこう。

あっさりと断念して来た道を戻りはじめる光君。

土屋先生:・・・え?・・・あの?・・・ちょっと・・・

これは完全に不意を突かれたのか、しばらく棒立ちになる土屋先生。まさかここまできて修道院に入らないなんて思っていなかったため、光君の行動にまったくついていけていない。

光君・・・ここまできて入らないのはありえないと思うのだけど、いかがお過ごしな今日この頃?絶対頭おかしいよこいつ、などとツッコミが入りそうだ。普通にありえない。めちゃくちゃ中に入りたそうな土屋先生だが、『判断をゆだねる』という約束がある以上、彼の言葉には従う義務がある。

・・・しかし、一番大変なのは土屋先生の機嫌を損ねた光君なのかもしれない・・・

土屋先生の顔に笑みが張り付く。でも目が笑ってない・・・


足取りも軽く、修道院から帰る道を行く光君と、未練がましくとろとろ歩く土屋先生。そんな二人は城門近くに 『例のもの』を発見!!
モン・サン・ミシェル・オムレットという名の巨大オムレツの店である。光君はなぜかこの情報を手に入れていた。・・・宿は調べてなかったのに。光君の情報によれば、ひとつ3000円程度で食べられるとのことだった。修道院には入らないのに食べ物にはお金を出す光君。というかこのために入場料をケチったのか?



店の外の壁には、実際に調理に使うフライパンが立てかけられていた。
料理・・・というよりはそのまま棒術でも始めるのではないかという長さだ。中国で同じような調理器具があったら、それでひとつ拳法が編み出されるのではないかと疑いたくなる長さ。この巨大なフライパンを使って、これでもかという大きさのオムレツが生み出されるのだ。その大きさがモン・サン・ミシェルでの名物料理の座を手にした理由だろう。もちろんほかにも名物はあったのだが、そちらは予算が許さなかったのだ。もうひとつの名物料理とは、『羊料理』である。それもモン・サン・ミシェルの付近に生息し、その地理的特徴(モン・サン・ミシェルのそびえる湖は海水が流れ込んでくるため塩分が多い)から塩気の多い海草を食べて育つという非常にレアな羊、それをふんだんに使用した羊料理があるのだ。しかしそこまでは手が出せずに、とりあえず『名物』であるオムレットをいただこうという魂胆のようだ。




どんなオムレツなのか実物を見たことのない二人は、フライパンからその大きさを想像しながら店に入った。いかにも高級料理店ですと言わんばかりの店内でテーブルへと案内される二人。
ウェイターは初老の老人だった。
日本語のメニューを用意するウェイターに対し英語のメニューを持ってくるように指示をする土屋先生。

・・・実は彼はあまり漢字が読めない。

受験の際に英語に浸りすぎて記憶障害があるというのだ。2005年3月現在ではそれほどひどくはなくなったものの、その後遺症のようなものを未だ引きずっている。

そしてウェイターから英語のメニューを受け取り、それを開いて・・・土屋先生が石像になった。


なんと最低でも35ユーロからなのである。
情報では3000円程度のはず。

これには土屋先生もかなり驚かされたようだ。
二人で思わずひそひそと小声で話し始める。

光君  :ツッチー、どうする?やばいかも、高すぎない?
土屋先生:・・・確かにそうだが・・・出られる雰囲気じゃないだろ?

ここで出て行ってしまったらかなりかっこ悪い。
仕方なく注文をする二人。

光君は前菜つきの35ユーロ。
土屋先生はデザートつきの38ユーロだ。
二人とも5000円を超えてしまっている。

ここで解説をしなければなるまい。なぜ情報と大きく異なる値段が提示されているのかを。

その原因は 情報の古さにある。

彼らがネットで調べた記事はおそらく2001年前後の情報なのだろう。
当時1ユーロ90円あたりまで下がっていたユーロは、この時点では140円以上。
値段にして1.5倍になっているのは純粋に為替レートの違いによるものだ。情報の鮮度の重要さに対する認識が甘かったようだ。



結構簡単に吹っ切ってしまった二人の前に現れたのがビシソワーズスープとマッシュルーム。
ビシソワーズといわれてピンとくる人はあまりいないかもしれないが、ジャガイモで作った冷たいスープである。日本人にはあまりなじみがないため、『冷たいスープ』というだけで敬遠されやすい。

しかし二人のこと、出たものは基本的に残さず食べる。


次に現れたのがフランスパン。

フランスパンというにはものすごく小さく、上と下がとがっている・・・というか形がばらばらだ。非常に手作りっぽいのがなんともいえなく高級感と言おうと思えば言えるような言えないような。
この独特な形のパンに対して彼らの認識は『フランスパン』である。

なぜならば、
『フランスに知らないパンがある』=『じゃあフランスだからフランスパン』

という程度の知識しか持ち合わせていないからだ。

光君  :固くてまずい
土屋先生:・・・まぁでもここでほかほかご飯とか出てくるよりはあってるだろう?
光君  :確かに・・・フランスだしね。

もともとパンが嫌いな光君はこのパンもやはりお気に召さなかった模様。


そうこうしているうちに光君の前菜(?)が到着。
魚のムニエルだ。

光君  :うまいうまい!!これはいける!!

ご満悦の光君。
お肉大好きな光君だが、実は煮物やフライなどの日本料理も好きだったりする。

・・・ もちろん生野菜は残すのだが・・・

しかし前菜がこれほどのものだと、いやがおうにもメインディッシュへの期待が高まる。



光君  :・・・なかなかこないねぇ
土屋先生:ふむ・・・確かに少し時間がかかるねぇ

そういってあたりを見回す二人。

その二人の視界に入ってきたのはたくさんの写真。壁一面に所狭しと貼ってある。

光君  :・・・なんだろうね?この写真・・・

その声が聞こえたのかどうかはわからないが、先ほどのウェイターが来て説明を始めた。

ウェイタ:ああ、この写真かい?

以下光君主観フィルターでお送りします。

ぺらペーらぺらペーら!!なんたらかんたらうんたらかんたーら!!フェイマス・パーソンどーたらこーたーらー!!うちの歴史はうんぬんかんぬんヤッヒー!!

以上。

早口な上になまった英語でわけがわからない光君。
実際には、
『うちの店は古くから著名人が集まる店で、ここにある写真はもう1世紀近い歴史を持っているものもあるのだよ』
とのたまわっておられたわけです。



そのなかに 日の丸を発見した光君。

光君  :ツッチー、日本人ぽいのがいる。
土屋先生:ほんとだ。誰だろう?

ぺっペーら!!ぺらペーら!!うんぬんかんぬんぺっペーら・・・

いやおっさん、もういいから、ほんとにいいから。
つーか誰も聞いてねぇし。
と二人の顔が物語っているが、そんなのはお構いなしに話を続けるウェイター

ウェイタ:ぺっペーら・・・ エンペーラ・・・ぺっぺーらぺらぺーら

土屋先生:・・・!?今こいつエンペラーとか言ったぞ!!
光君  :え?マジで?でもあの写真、天皇じゃないべさ・・・

ぺっペーら!!ぺらペーら・・・

うるさい黙れ却下だ

再びそんな顔になる二人。


そうこうしているうちにやっとメインディッシュの登場。
ひとつの大きなオムレットを二つに分けてそれぞれの皿にのせる。15ユーロ程追加で支払えば丸々ひとつ食べれるのだが、注文するときはそんなことは知らない二人。

ちなみに一人で頼むと半分は破棄されてしまうようだ。

外に立てかけてあったでかいフライパンは伊達じゃない。

そして二人はオムレットを パクッ♪

首をかしげながら塩をかけて パクパクッ♪

光君  :・・・・・・・・・
土屋先生:・・・・・・・・・

しばらく沈黙する二人

光君  :・・・あの・・・なんか・・・これって・・・?
土屋先生:まずい!!

モン・サン・ミシェル・オムレット。
それはメレンゲを作るようにものすごい勢いで卵をあわ立てて作るものらしい。つまり中身は スカスカなのである。さらにフランスはその昔、香辛料がほとんど取れなかった。そのため基本的に味付けは塩のみという時代が続いていたのだという。つまりモン・サン・ミシェル・オムレットというのはただの 超低密度オムレツなのである。

光君  :・・・ミスった?
土屋先生:いや、こんなものに5000円も出したということが重要だろう。ここでこれを食べていなければ、モン・サン・ミシェル・オムレットがろくでもない食い物だと声を大にして言うことはできなかったろう。つまり経験値を上げるという面ではミスってはいない。

ご予算的にはミスってますがね。
なんとかうまく自分たちを納得させ、適当にオムレットを平らげる二人。




期待はずれのメインディッシュを何とか平らげたところにデザート到着。

・・・ただし土屋先生の分だけ・・・

メインディッシュがまずい(二人の主観だが)のを見越して頼んでいた・・・わけじゃないですよね?

土屋先生:・・・

しかしデザートを前にしてしばらく沈黙する土屋先生。
なんとデザートの皿のど真ん中にプチトマトが。タバスコを一気飲みしてもそれほど死にそうな顔をしないほど味にこだわらない(というか我慢強い)土屋先生の唯一の弱点、それが生のトマトなのだ。これを口にした日にはもう・・・周りにいる人たちが一生忘れられないような経験をつんでしまうこと請け合い。

プチトマトを横にどかしながらデザートをパクッと一口。

土屋先生:・・・まぁまぁ?

まずいメインディッシュの後に食べて まぁまぁということはそれはおそらくあんまりおいしくないってことでしょうか?



デザートにも満足いかなかった土屋先生がレストランを出た直後、目に付いたのは

クレープ

土屋先生:・・・

無言でクレープ屋に進む土屋先生。
本場のクレープを食べて気を晴らそうというのだろうか?
そうでなくても予算をオーバーしまくってる状態で?
そんなにまずかったのですか?

光君  :ツッチー・・・?

土屋先生:ウーナ、クレープ。クアンテコスタ?

光君を無視してクレープを購入する土屋先生。そんなにキれなくても・・・でも1つ1.5ユーロ。塵も積もれば何とやら。ちなみに土屋先生、流暢にフランス語を話してるのかと言うとそうではない。ルーマニア語でした。



店のお姉さんは手馴れた手つきでクレープをひっくり

・・・ベリッ・・・

お姉さん:・・・・・・・・・
土屋先生:・・・・・・・・・

時がしばらく止まる

後ろで見ていたおばちゃんも『あーあ』といった顔。

しかしここは年の功、難なく破れたクレープを修復して手早くまとめるおばちゃん。

作り直してはくれないみたい。


クレープを受け取りお金を払う土屋先生。

土屋先生:半分食べる?
光君  :・・・んー・・・俺はいいや。

光君がそういいながら土屋先生を見たとき、すでにクレープの半分が消滅していた。早きこと風の如しというやつだ。
観光をあんまりしていない割にはものすごくコストがかかったモン・サン・ミシェル。

しかし町(修道院ですが)の雰囲気のおかげで十分な観光気分に浸った二人。本日はまだまだ移動しなければならない。今夜、パリを出る夜行列車に乗ってベネチアまで移動しなければならないのだ。



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