SYU's TraveLog.
登録08.03.12
1日目
無事(?)チェックインを済ませた二人は両替に向かう。
「ツッチー、とりあえず二人で24000円分ドルにしとくね。」
「残りは?」
「日本円で持ってくよ。」
「ふーん♪」
ニコニコ顔の土屋先生。
このとき土屋先生は自分の(今両替にまわした分以外の)所持金(予算)は全てドルに変えておいたのだ。
実は塾から出た予算を日本円のままで持っていくのは光君だけなのだ。
それがどういう意味なのかは後ほど判明する。
そして運命の出国審査前の荷物検査。
液体物を廃棄するためのゴミ箱が用意されている。
「んじゃ、捨てるね。」
そういってゴミ箱にしょうゆを投げ込む光君。
途中台北を経由して移動する二人だが、ここでは光君もなれたもので、ノートラブル。
トラブルの溜め期間中といったところでしょうか。
ベトナムについて一番最初に二人がしたこと。それはホウキが無事に着いたかどうかの確認である。
幸い何の問題もなく受領できたことに喜ぶ土屋先生と、残念そうな光君。
「ってかよ、これ邪魔なんだよ!!なんに使うんだよ!!」
「まぁまぁ、武器にもなるし、武器にもなるし、武器にもなると。」
「いらねぇよ!!」
しかし残念ながらルールなので逆らうわけにはいかない。
次に来たのが両替所。
「じゃあ日本円を両替するね。とりあえず残りの日本円が12000円だから一万円分両替しておくね。」
「レート確認したか?」
「ん?ああ!!何だこれ!!」
日本円はUSドルに比べて手数料が両替額の10%は上乗せされている。つまり1万円両替したら1000円は手数料でなくなってしまうのだ。(この時点で1ドル=102円)
仕方なく両替する光君。
彼は気付かなかったがさらに5%の両替手数料を取られている。
土屋先生はあらかじめ両替しておいたドルを50ドル分ベトナムの現地通過に両替する。
そして本日一番のトラブルが。
「・・・どっち行こう?」
光君がとんでもないことを言い出した。
「調べてないの?」
特に驚いた様子もなく言う土屋先生。
「いや・・・あの・・・タクシーでホーチミン市内まで5ドルらしいんだけど・・・」
「じゃあそうしよう。」
満面の笑みで同意する土屋先生。
「・・・えーっと・・・」
おどおどしながらタクシーの客引きのところに行く光君。
「タクシー?」
タクシーの客引きが光君に群がる。
「あ・・・あいわんととぅゴーとぅーホーチミン」
ものすごくたどたどしい英語で話す光君。
土屋先生の目がスーッと細くなる。
以下英語である。
「ホーチミンに行きたいんです。」
「オーチミンのどこに行きたいんだね?」
「いやあの・・・だからホーチミンに・・・」
客引きの顔があやしい笑みを浮かべる。
「どこの住所に行きたいんだ?ん?」
光君を完全なカモだと思ったようだ。
「いえ、だからホーチミンに・・・」
非常にまずい傾向である。日本で言えば、上野駅で東京都に行きたいんですと言っているようなものだ。完全におのぼりさんである。
うまく自分の言いたいことが通じていないと思った光君はあきらめて別のタクシーを捜そうとするが、その時にはもう周りの空気が変わっていた。
もちろん土屋先生はそれに気付いている。
そして再び光君が別のタクシードライバーに値段を聞いたとき・・・
「50ドルだ。」
明らかにおかしな値段を言ってくるタクシードライバー。
「いくらか怖くなって足早に逃げ出す光君。」
「いや、二人で10ドルでいいから乗ってきなよ。」
いきなり5分の1になる値段。怪しさ爆裂だ。
タクシー強盗かもしれない。
特に、道のわからない人間には、どこに連れて行かれるかも判別不能だろう。
「・・・行くぞ光君、確実に目をつけられてる。」
ホウキで周りをけん制するように動く土屋先生。
「光君、何も調べてないだろ?」
黙ったままの光君、図星なのだろう。
ベトナムについて、いきなりピンチに陥った光君。
彼は無事にカンボジアまでたどり着けるのだろうか?
タクシー乗り場の客引きたちから逃れた光君は安全そうな(観光客がわんさか乗っている)バスのおじちゃんに声をかけた。
「へいおっちゃん、ホーチミンまで行きたいんだけど。」
まったく懲りてない光君。
「あーん、じゃああっちでタクシーでも拾ってくれ。」
結構良心的なおじさんだったようで、普通に教えてくれる。
ちなみに、先ほどタクシーの客引きがいたのとはまったく逆方向だ。
「サンクスおじちゃん。」
感謝の言葉も聞かずにバスに乗り込むおじさん。
言われたとおりに歩くと国内線ターミナルが見えてきた。
しかし、先ほどのあからさまなぼったくりが頭から離れない光君は、いまいちタクシーに乗る気になれない模様。
「歩くか?」
土屋先生が助け舟(?)を出した。
「うーん・・・」
煮え切らない態度のままとりあえず市街地と思しき方向に歩き始める光君。
思ったよりも空港のすぐ近くから市街地が始まり、それほど歩くのも苦にならない様子。
しかし・・・彼らはまだこの地についてから一度も現金を使用していない。
どの程度ドルが通用するのかもわからないだろう。
「あ、ツッチー、この道ってこの地図のここだ。」
光君が現在位置を把握したことで少々興奮気味だ。
「そーすると・・・」
車とバイクの濁流となっている道路を横目に見ながら光君は続ける。
「この道を横断する?」
まったく信号のない、横断歩道があっても絶対に車がとまらなそうな道を横断するのは非常に危険だ。
「行くしかないか。ここは度胸だな・・・」
「いやまて、死ぬぞ。」
普段は絶対に止めない土屋先生が光君を止める。
「特に横断歩道のある交差点はどちらから車やバイクが来るかわからない。下手にわたると死ぬぞ。」
「・・・」
さすがに土屋先生の剣幕に行くのをやめる土屋先生。
「誰かがわたるまで待つんだ。」
そうは言うが一向に人が道路を横断する気配がない。
「・・・誰も渡らないよ・・・」
不安げな顔になる光君。
「・・・」
さすがに言葉が出ない土屋先生。
真剣に車の流れを読もうとしている。
しかし車とバイクの流れは一向にどぎれる気配を見せない。
そんな時、一人の男性が道路を渡ろうとするではないか。
その彼も躊躇すること優に10分。
と、突然彼の目が鷹のような光を放った。
すっと道路に足を踏み出し、絶妙のタイミングで車とバイクの濁流を抜けていく。
それについていく土屋先生と光君。
対岸までたどり着いたとき、二人はその男性に声をかけられた。
以下英語。
「韓国人かい?」
「いえ、日本人です。僕が先生でで彼が生徒。」
「ほほう、しっかしあぶねぇだろここは?まったくクレイジーだよな。」
「でもさすがはベトナムの方ですね。よくあの流れをこえられますね。」
「ああん?俺はチャイニーズだぜアンちゃん。」
「ああ、そうなんですか?」
そんな会話をしているうちに二本目の道路にまでたどり着いてしまう三人。
「さて、もおいっちょいくか!!」
そんなこんなで無事に道を渡り終えた三人。
土屋先生と光君は男性にお礼を言って別れる。
以下ダイジェスト。
光君は日本語学校を見つけると、そこで安い宿の情報を得る。
空港から5kmほど歩いた二人に安宿の集まる繁華街までの距離はやはり5km程度とそれほど長い距離ではなかったが、いきなりタクシーを捕まえる光君。
料金は二人で4ドル。
偶然かどうかはわからないが、土屋先生が見つけたHONG KONGなるホテルがエアコン付きで16ドルだったためにそこに決定する。
光君が自転車が買いたいと言うと、ホテルの主人が320ドルで譲ってくれるという話をしてきた。
二人ともそんな予算がないので明町を探すことに。
ちなみに水は1.5Lで5000ドン(33円くらい)。
そしてシャワーを浴びてきれいになった二人は夜の屋台でベトナム料理をたしなむのだった(一人1ドルちょっと)。
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