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SYU's TraveLog.
登録08.03.08
3日目・遅い昼食
無事にオーステルリッツ駅に着いた二人。
時計は4時を回っていた。
「いーやもうマジで腹へって死にそう。とりあえずなんか買いにいくべ。」
駅を探してうろうろするというオプションが無くなった光君は意気揚々と飯を探す旅に出るのだった。
「んで、何にする。」
「そーだよねー、あんまり予算がないからその辺の商店で買って食うのが一番だと思うんだ。」
「よし、じゃあ行こうか!!」
そう言う土屋先生の姿が微妙にロケットやミサイルと重なったように見えた光君はあわてて言葉を足した。
「ツッチー、近くね、ち・か・く!!遠くには 絶対行かないから!!」
ずいぶんと経験値がたまってきた光君、旅行者として(?)のレベルも結構あがってきたようだ。
しかし・・・近くにある店は
基本的にパンしか売っていない
もういい加減慣れればいいころなのだが、それでもやっぱり
「うぉぉぉぉ・・・パンはかんべんしてほすぃ・・・」
パン以外のものというと米なのだろうか?
「まぁまぁ、もっといろいろ見てみようよ。」
光君を慰めているのかいないのか、土屋先生が次の店に行こうとうながす。
光君の意思に反し、徐々に駅から遠ざかっていく二人。
そんな二人の前におなじみのマクドナルドが現れた。
ハンバーガー 95ユーロセント(140円)
大迫力で二人に迫るその看板だが、
「・・・いや、だめだ。マックはだめだ。日本でも食えるし!!」
まぁ世界中のマックを食べ比べとかをやっても面白いのではないと思わなくもないが、彼の中ではNGらしい。
ちなみに、フランスのマクドナルドのハンバーガーは日本と比べてケチャップが多い傾向にあるらしい。
そしてマックを通り過ぎると・・・
パン屋とパン屋とパン屋とパン屋
正確にはサンドイッチも売っているのだが、光君にとっては パン屋以外のなにものでもない。
ふと、土屋先生の目にプライスタグが飛び込んできた。
40ユーロセント
約60円である。
これは安い。
とりあえず一本ご購入。
「いやもう長くて安くてめっちゃお買い得じゃないか!!光君もどう?」
サイズと値段に大満足の土屋先生。
「・・・いやなんていうか・・・モロにパンだし・・・」
パンが嫌いな光君は、こんなに大きなパンを、それも何の味付けもなしに食べるなんて考えられないのだろう。
「そう?残念だなぁ・・・」
そういう土屋先生の口調は残念というよりも愉快なことがおきているかのようだ。
彼は予算について考えをめぐらせているのだろう。
でも土屋先生、光君の予算が尽きたらどうなさるおつもり?
パン屋ばかりの(といっても食べ物が売ってない店は無視してるが)通りに、珍しく商店が一軒あった。
「光君、なんかいろいろありそうだよ。リンゴにオレンジ、バナナとかある。」
「・・・くだものは嫌いだけど、確かにいろいろありそうだねぇ・・・」
そう言って中に入る光君。
店内で扱っていたのは・・・
缶詰・ジャム・ジュースにパン・チーズ、そしてタバスコ。
土屋先生はこのタバスコが大好きだ。それもここで売っているのはビッグサイズ。
しかし、ここで無駄遣いは出来ないので涙を飲んで我慢する土屋先生。
「うーん・・・イマイチ。」
お気に召さない光君。
まぁ缶詰とかはあける道具もないので、そもそもパンに興味のない光君には魅力的なものは何もないのだろう。
「あ、お菓子とかもある。」
目ざとく見つける光君。
日本でもおなじみのキットカットやスニッカーズ、それにやはり有名どころのTWIXなどがある。
「光君、ここは出来るだけフランスっぽいものを買いたくないか?」
「ああ・・・確かにね。」
「んじゃ、僕はチーズでも買っていくかな。」
チーズを手に取る土屋先生。
中国製やアメリカ製の製品が多く並ぶ中からフランス製のものを選ぶ土屋先生。
お値段は1.95ユーロ、約280円だ。
「えー!!チーズなんか食べるんだ?」
「フランス製だしね、出来るだけ現地の味を楽しんでおこうと思ってね。」
・・・出来るだけ、ぎりぎりの予算の中でも可能な限り楽しむことを忘れない土屋先生。彼にとってはまだまだ余裕のようだが・・・光君は疲労困憊である。
「いや、まじ腹へって死にそうだ。次行こう・・・」
さらにしばらく移動を続ける光君。
土屋先生はすでに食材を手に入れてご満悦の様子。
光君はお気に入りの食事を見つけられずにいらだちを隠せない様子だ。疲労と空腹にさいなまれていらだたない人間というのもすごいとは思うが。
と、二人の前にマクドナルドではないファーストフードが現れた。
いそいそと店に入る光君。
ハンバーガーが2ユーロ、ハンバーガー・ポテト・サラダのセットで4.5ユーロだ。
「こりゃあセットだな、ポテトうまそうだし。」
さくっと注文を済ませる光君。
「・・・ん?サラダついてるじゃないか?」
ふと、光君の野菜が嫌いというセリフを思い出す土屋先生。
しかしそれを聞こえないのか、支払いを済ませる光君。
店員さんはアラブ系の男性で、手早く袋詰めをしてくれる。
「・・・ん?ナイフは入ってるけどフォークがないぞ?」
袋の中にフォークがないことに気づく光君。
以下英会話。
『にぃちゃん、フォークないんだけど』
『あ・・・あぁ、すまん。はい。』
そう言ってナイフを渡す店員。
『いや、フォークがねぇんだけどもさ?』
まぁ待てというゼスチャーをする店員。彼はナイフを二本取出し、器用に動かしてみせる。
『あんた、チョップスティック(箸)って知ってるか?』
『・・・』
『こうだよ、こう!!』
にこにこ笑って嬉しそうにナイフを動かす店員。
光君の後ろでは爆笑している土屋先生が。
「・・・まぁ・・・いいか。」
とりあえず空腹を満たすのが最優先の光君は、特に気にしてはいない模様。
駅に戻ってベンチで食事をすることになった。
「あ、光君。僕ちょっとマックで何か買ってくね。」
「はーい。」
「明日の朝飯も買って行った方がいいかもしれないし。ハンバーガー1ユーロは安いしね。」
「・・・明日の朝飯か・・・俺も買ってく。」
これは主体性のないわけではないだろう・・・が、土屋先生も作ってから15時間以上たったハンバーガーを朝ごはんにすると言っているのはない。おそらく彼が
朝飯にするのは先ほど買ったフランスパンとチーズであろう。
それに気づかずに土屋先生に合わせてハンバーガーを3つ買い込む光君。
そして二人は駅へと足早に戻るのであった。
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