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SYU's TraveLog.
登録08.01.22
3日目・パリ観光・・・本当に観光?
「なんかずいぶんにぎやかになってきたね。やっぱこっちであってたんだよツッチー。」
「そうだね」(チッ・・・つまらぬことだ)
二人は無事シャンゼリゼ大通りを上ってきたことになる。
実は彼らの進む方向にはしっかりと凱旋門が見えていたりするはずなのだが・・・
「おお、光君。左に見えるのは・・・」
「・・・おー!!こいつは!!」
二人の目の前に現れたのは・・・
巨大な
ヴィトンのバッグ
・・・の外装をしたビルだった。
「さすがパリだね。母ちゃんがほしがりそうなバッグ。」
「・・・うーん、さすがにこのでかさのものは欲しくないと思うけど。」
「・・・あ、ツッチー、この辺お水売ってるんじゃない?」
凱旋門に向かう道を走りながら、目ざとく売店を見つける光君。
「おお、確かにね。ちょっと見ておいでよ。」
自転車にまたがりながら光君を促す土屋先生。
そして店に入り・・・即座に出てきた光君は青い顔をしていた。
「いやさツッチー、500mlの水が2.5ユーロってどうよ?」
2.5ユーロ≒350円
「・・・」
絶句する土屋先生。
そろそろのども渇いてきた頃。さらにユースホステルにはジュースや牛乳、コーヒーなどはあったが飲み水がなかった。備え付けのお湯を冷まして持ってくればよかったと後悔する土屋先生。
「ん?ツッチー、あれ凱旋門じゃない?」
光君がその目に凱旋門を捉えた。
「うむ。その通りだ。」
いまいち面白くなさそうな土屋先生。
安い水が確保できなかったのが面白くなかったのか、それとも観光自体が面白くないのか。
確かに観客の立場からすれば彼らが観光しても何も面白くない。というよりは彼らのトラブルのほうが100倍面白い。
・・・土屋先生は観客のつもりでいる?
そういう目で見れば彼は 特等席に座る観客なのだが・・・
当面の目的地が視認出来た二人(?)はさらに周囲の風景を楽しむ余裕が出来てきた。
「おお、光君。ここにおわすはメルツゥェデツ・おベンツ様のディーラーにござる。」
「さすがベンツだね。こんなにいい場所にディーラーがあるなんて。」
「お金余ってるのかな?」
「まぁお金が余っている人が乗るものだしね。」
好きなことを好き放題話す二人。あまり不用意なことを言うと危ない目にあうかもしれないとは思わないのだろうか?
そして次に二人の目に付いたのが・・・
マック!!
なんでシャンゼリゼ大通の・・・それも凱旋門に近いほうにマックがあるのだろう?
高級感から考えるとベンツのほうが凱旋門に近くてもいい気がするのだけど、土地の値段とか複雑なのだろうか?
まぁどこにでもあるのがマックだから、ここにもあってくれるというのは安心な感じはするが。
「食べてく?光君。」
「えー!!、ここまできてマックとかやだなぁ。もうちょっとましなものがいい。」
「ふーん、 もうちょっとましなものかぁ・・・」
ものすごい含みを持たせて笑う土屋先生と気づかない光君。
予算が予算なのだから結構大変なはずだが、光君はちゃんと考えているのだろうか?
確かに周りを見ればカフェテリアがたくさんある。
『シャンゼリゼ大通りでお茶をする。』
とてもおしゃれな感じがするが・・・そんな予算がないのは百も承知だ。
でもレストランなんかに入ろうものなら一瞬で予算がなくなってしまう。
下手をすれば一回カフェに入るだけでフランスパンが20本ほどかえてしまうだろう。
食べ物のことでドタバタしているうちに凱旋門に到着した二人。
「さて、ついたな。」
しかし二人が見た凱旋門は・・・微妙に工事中だった。
「よーし、じゃあ次行こうか。ツッチー!!」
「っておいおいちょっと待て、凱旋門は中に螺旋階段があって上まで行くことが出来るんだ。のぼってみないか?」
「お金かかるでしょ?」
「いやそうだが・・・」
「じゃあ却下。次行くよ、次。」
後ろから微妙な視線で光君を見る土屋先生。
ってか君たち本当に観光しないのだね。
光君にとってこの旅行の目的は何なのだろう?
帰るまでに答えが出ることを思わず祈ってしまうが・・・帰る頃には手遅れでもある。
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