Deprecated: Methods with the same name as their class will not be constructors in a future version of PHP; Smarty has a deprecated constructor in /home/xsvx1017591/minifunc.com/public_html/smarty/Smarty.class.php on line 64
SYU's TraveLog.


登録09.04.30
4日目・ベネチア到着


ベネチアに到着した二人。

特に迷う様子もなく駅の出口を目指す光君。

自転車で駅のホームを走るのに抵抗はなくなったようだ。

長い列車の旅だったが、さして疲れた様子もない光君。

今までの旅がハードだった分、列車に乗っているだけでは疲れないタフな旅人へとレベルアップしているようだ。



駅を一歩出ると、そこはまさに水の都だった。

駅の前を通る川にはたくさんの船が行き来し、車輪のつくものは旅行者のかばん以外まったくない。

町の道と言う道を全て水路にしたようなつくりのベネチアに心奪われる光君。


「・・・来たねぇ・・・来たよベネチア!!」

「うむ、ここはよい街だ。僕が世界で一番好きな街だよ。」


はしゃぐ光君と。感慨深げに街の様子を見る土屋先生。

と、突然光君がきびすを返し、駅の中へ。


「どうした、光君?」

「明日の電車、先に調べておこうと思ってね。」


この光君の行動にはかなりびっくりする土屋先生。

光君のことだからこのまま何の準備もなしに街をうろつくと思っていたからだ。



駅のカウンターで、慣れた英語で話し始める光君

『オスおっちゃん、チケット予約したいんだけども。』

『ああん、どこまでだボーヤ?』

『ウィーンまで。夜行があればそれで頼むわ。』

『んー、ちっとまってな。』

『どうだいおっちゃん。』

『おおあるぞ。夜の8時44分発。あと2時間ちょっとで出るな。』

『んー、じゃあそれ二人。あっと、ユーロパス持ってんだけど?』

『んじゃぁ一人4ユーロだな。』

『うお、安いな。』

『だっておめぇ、パス持ってんだろうが?』

『フランスじゃぁなんかいろいろとられたんだヨ。』

『ふーん・・・まぁいいや。じゃぁちゃっちゃと切符出してやっからまってな。』


ソツがなくチケットを手配する光君。

だが・・・


「光君、何か間違ってないかな?」


さすがにここは突っ込みを入れる土屋先生


「ん?何が?」

「今、 2時間後とか言ってなかったか?このおっちゃん。」


そこで『言ってたっけ?』という反応を期待した土屋先生だが・・・


「言ってたよ。今夜8時44分発だと。」

「・・・」


一瞬光君が何を言ったのかわからない土屋先生。


「・・・今夜出るの?」

「今夜出るよ。」

「マジで?」

「マジで。」


思わず頭をかかえる土屋先生。

さすがにベネチア観光2時間、それも夜と言うのは彼の予想の範囲をはるかに超えている。

何か言おうとする土屋先生だが、何を言っていいのかまったくわからない。

そのあいだにチケットの発券は終了し、光君はカウンターを離れた。




そんな土屋先生を尻目に、駅の出口に再び足を向ける光君。

土屋先生があわてて追従する。

そして土屋先生が再び声をかけようとしたとき、光君が足を止めた。

「うーん、安いな。夕飯と明日の朝はこのピザに決定かな?」

出鼻をくじかれて再び黙る土屋先生。

「・・・ふぅ」

あきらめてため息をつく土屋先生。

大好きなベネチアに 2時間しか滞在できないことに落胆している土屋先生だが、光君がそれに気づいた様子はない。

ユースホステル探しで大変な苦労をさせるつもりが、とんだ計算違いになったようだ。



前の記事:4日目・もうすぐベネチア
次の記事:4日目・アクアおじさん
記事一覧に戻る



投票画面に行く