アメリカ旅行記 (二日目)

 

 

 

二日目

19時〜20時くらいに寝て、午前4〜5時に起きたので・・・・・まぁ8時間以上は寝ただろうか。
まだ朝日はでていないが、窓の外にボンヤリと薄暗い光が見える。

周りはみんな眠っていたので、そのままボーッとしていると、Tさんも起きたようだった。
せっかくなんで日の出を見ようと思い、Tさんと隣の車両へ行ってみる。

隣はラウンジのような感じの車両だった。一階には売店があり、二階は天井以外ガラス張りで、椅子やテーブルが設置してある。景色を眺めるには最適だ。
ちなみにもう一つ先の車両は食堂である。

椅子に腰掛け、世間話をしながら外の風景を眺める。
ラウンジには他の客も何人かおり、同じように外の景色を眺めていた。

しばらくしてWも起きてやってきた。
起きたら俺らがいなかったので、相当に焦っていた様子だ・・・スマンスマン(苦笑)。

日の出までゆったりと過ごす。

しっかしまぁ・・・ほんっとうに広い国ですな。
なーんもない荒野を、何時間もひたすらに延々と走り続ける。いろんな意味で日本とは桁違いだ。

そりゃあんなトコにずっと住んでりゃ、嫌でも大雑把になりますわな。
日本みたいなせまいとこ住み続けてると、俺みたく、せせこましい神経質野郎になるみたいにね。


車内にて・・・・・手前にいる眠そうなのがW

約一時間後に日が昇る。
寝ぼけていたのでよく覚えていないが、非常に綺麗だったような気がする。

午前七時過ぎ頃、列車が停車した。どこかの駅に到着したようだ。
まさか・・・と思い、近くにいた客に、ここがどこなのかを聞いてみる。

客「あ? ここ? フラッグスタッフだヨ」

頼むから、アナウンスの一つくらい流してください。
降りる準備を全くしていなかった俺らは、マッハな速度で荷物をまとめ、慌てて列車から降りた。

何はともあれフラッグスタッフに到着。


フラッグスタッフ駅
左に見えるのがアムトラック

グランドキャニオンへは、ここからバスで一時間弱ほどかかるらしい。
バスが到着するまで約一時間ほど時間があったので、とりあえず銀行を探す。

駅周辺を、あてもなくプラプラしてみるが、銀行っぽい建物などどこにもなっしんぐ。
というか、朝のためかどこの店も閉まっており、どの店がどんな店なのかも分からず。

嫌な予感を感じつつ、駅に戻って駅員に銀行の所在について聞いてみる。

T「ヘイおっちゃん・・・この辺りに銀行ネーかイ?」

駅員「あ? 銀行? あるにはあるが、こんな朝っぱらからは開いてネーゾ」

嫌な予感的中

銀行はあるのだが、開くのは十時過ぎだそーな。
ちなみに、俺らがここを出るのは九時前・・・・・銀行開く頃には、グランドキャニオンに着いてます。

更に追い討ちをかけるように駅員が続ける。

駅員「第一、お前ら銀行になんの用だヨ?」

T「両替してーんだヨ・・・俺らドルなくて困ってんだヨ」

駅員「はぁ? ここら辺に両替やってくれる銀行なんざネーゾ。フェニックス行け、フェニックス」

フェニックスは、ここからアムトラックで10時間くらいかかる場所にありまうす。
金なくて困ってる言うてんのに、どないして行けっちゅーんじゃボケ。

駅の中でどうするか相談。
ちなみにグランドキャニオンの入場料ってことで、いくらか取られたので、現在の総資金は10ドルきってます。
VISAカードでおろすという案もでたが、ATMの置いてあるある店が開くのも10時以降だった。

そんなこんなで話し合っていると、そこに一人の日本人兄ちゃんが通りかかる。
年は俺らと同じか、少し下くらいだろうか。

とりあえず、諭吉の偉大さ・・・もとい価値を理解できる人間である。
両替できないかどうか聞いてみるが、彼もギリギリ旅行のため、手持ちのドルはほとんどないとのこと。

やばい

今度こそは本気でやばい。

色々と話し合った結果、イチかバチか、グランドキャニオンへ行って、日本人観光客捕まえて片端から両替を頼んでみる・・・ということになった。
もぉなんて言うか、行き当たりばったりの極みですな。

これで両替できず、ATMも見つからずとなったら俺らどうなるんだろう?

不安を胸に出発・・・・・する前にお手洗い。
便所のドアを開けて凍りつくポックン。


ここは、おぼっちゃまくんチですか?

おい・・・何だこの無意味な広さは。
写真には写っていないが、右っかわのほうもかなりのスペースがあった。大雑把にも程があるぞアメリカン。

とにもかくにも出発。

バス・・・というか、なんとなくランクルっぽい車に乗って移動する。
先ほど、両替を頼んだ兄ちゃんも同乗。彼も行き先はグランドキャニオンのようである。

この兄ちゃん、どうやら一人旅のようだ。
英語話せないし初めての海外ってことで、多少の不安はあったものの、まぁなんとかなるべ・・・みたいな感じのノリで、とりあえず『地球の歩き方』片手にやってきてしまったんだそうな。

俺には真似できん・・・小心者だから。

高速っぽい道路をかっ飛ばして走る。
途中、ドライバーのおっちゃんが何やら色々と話していたが、何話してんのかさっぱりワカメ。

その後、ひたすらになーんにもない荒野を走り続けること一時間ばかし・・・森なのか、ただ荒野に木が生えただけなのかは分からんが、なんとなくそれっぽいところに入る。

それっぽいところをしばらく走り、関所みたいなところに着いた。
グランドキャニオン国立公園入口だ。
一旦停車して、おっちゃんが人数分の切符を、係りのおばちゃんに渡す。
その時のやり取りが笑えた。

おばちゃん「How are you?」

おばちゃんの何気ない挨拶。
普通ならば『I'm fine』と答えるところだろうが・・・

おっちゃん「Excellent!

親指突き立てて、威勢よく答えてました。
なるほどね。その手があったか(苦笑)。

入り口こえて、しばらく進んだところで休憩所みたいな建物が見えてきた。
その前で停車・・・降ろされる。

おっちゃん「五時になったらまた来てやるから、それまで好きに回ってこいやー」・・・とのこと。

何はともあれ建物の中に入り、ATMを探す・・・・・発見。
とりあえず路頭に迷うことはなさそうだ。一同胸を撫で下ろす。

さて、首の皮は繋がったので、さっそくメインイベントを拝みに行く。
旅は道連れってことで、例の兄ちゃんも一緒に行動。名前は・・・K君ってことで。

建物前の坂を下ってゆくこと五分ちょい。

見えた


やっほー やっほー やっほー

広い・・・とことん広い。
東京ドーム何個収まるかな?

しばらくの間、その場に佇み眺める。

確かに最初は『うわーすげー』とか思ったが、十分もすれば飽きる。
だって動かねぇんだもの。さてこちらは動きましょうか・・・ってことで移動開始。

谷底のほうを見てみると、何やら道のようなものが見える。
どうやらそこを通って、谷底の河まで行けるらしい。
が、しかし、谷底へ行くには一日がかりになるとのことだったので却下となった。

崖沿いに、左回り方向のバスに乗る。
しばらく走ったところで、何気によさげな感じの場所があったので降車。

しばらくそこでダベったり、写真撮ったりしてゆったりと崖を眺める。


崖んとこでたそがれる俺

しっかしまぁこの広さと深さ・・・落ちたら確実に死ねるね。

再び移動開始。
バスの中、けっこう混んでて窮屈だ。

あー早く降りてー・・・とか考えながら景色を見ていたら、後ろから歓声が聞こえた。
何かと思って振り返ると・・・Tさんの手品でした(苦笑)。

やれやれ・・・可愛い子見るとすぐこれだ。
それを横目で眺めながら、こっそり耳打ちしてくるK君

K君「ねぇ、側にいて恥ずかしくない?」

俺「いや、もう慣れたよ」

いや・・・マジな話、けっこう恥ずいんですってば。
怒らんでくださいよTさん・・・一応、念のため(苦笑)。

左っかわ行きバスの、一番奥までやってくる。
降車後、適当なベンチを見つけしばらく小休止。


左がK君、真ん中がTさん、右がW

付近を散策していると何か・・・なんと表現したらいいか、微妙な感じの建造物を見つけた。

近づいて上にのってみる。
なんだかフニャっとしていて危なげだ。

トト「・・・何か、ここ抜けそうで危ないっすよ」

何か立て看板のようなものをボーッと見ているTさんに話し掛ける。

T「その抜けそうなとこってどこか指さしてもらえます?」

言われた通りに指差す俺。

T「さっき歩いたところですよね? ちなみにそこに書いてあるのが・・・Plese stay off roof・・・屋根にのっかるな」

トト「・・・・・」

慌ててそこから降りる俺。
どうやらお店の屋根だったようですな。

紛らわしい。
英語がパッパラな俺のために、柵の一つでも立てておけや。

ぐるっと回りこむようにして、下に降りる。
なんか土産物屋みたいである。

とりあえず中を物色。
でも金ないんでなんも買えん。

・・・ってそうだ、金だ。
じゃぱにぃずを探さないと。

しかしこっち着いてから、一度も日本人に会わない。
世界有数の観光地なのに、いるのはアメリカンばかりだ。

以前、中国に行ったときも思ったが、世界的に有名な観光地であっても、やはりそこに来る観光客の大半はその国の人である・・・って当然か。

土産物屋を抜けて、更に奥まで行き、大したもんがないことを確認して再び店に戻ってくる。
すると、入り口に日本人らしきグループを発見。

40は越えてるであろうおっさん三人に、30前後の若いの一人の計四人組みだ。

さっそく声をかけてみる。
話によると、バイオベンチャー『MJ Research』なる会社の面々らしい。
今、バイオが熱いのだそうである。ビジネスチャンスというやつですな。

なんかTさんが勧誘されてました(笑)。

こちらの間抜け話を色々と語った後、両替を頼んでみる・・・と、あっさりオーケーしてもらえた。

なんでも、ラスベガスでかなり勝ったらしく、ドルがたくさんあるのだそうな(笑)。
レートもかなりいい感じで換えてもらえた。
困ったときはお互い様だそうです・・・人情が身に染み渡りますなぁ。


記念に一枚

さんきゅーべりーまっち! MJ Research御一行!

ってなわけで懐も暖まったので、ホクホク散策。
とりあえず、左っかわは概ね回ったんで、バス乗って入り口へ戻る。

まだ時間はある・・・んで、今度は右っかわ方面のバスに乗って移動。

とりたてて珍しいものは見当たらず。
途中の売店でまったりと過ごした後、入り口に戻る。

時間まで、残り一時間前後。
特にすることもないので、周辺を散策したり、休憩所でだべったりして過ごす。

時間だ。
ドライバーのおっちゃん現る。例のランクルっぽい車に乗って移動。
よほど疲れが溜まっていたのか、帰りはグースカ寝てたんで覚えてない。

目を覚ますとフラッグスタッフ駅に着いていた。
いつの間にやら辺りは真っ暗だ。

俺らの次の目的地はラスベガス。K君はフェニックスに向かうらしい。
前にアムトラックの中で知り合ったおっさんに、大リーグを案内してもらうのだという。

駅の中で彼と別れる。
さらば・・・縁があったらまた会おう。

さっそく駅の窓口へ行って、ラスベガス行きの切符を購入・・・しようとしたのだが、

T「ヘイおっちゃん。ラスベガス行き列車の運賃いくらだい?」

駅員「ハァ? ラスベガス行き? んなもんここからは出てねーゾ」

お互い顔を見合わせ、凍りつく俺ら。

T「はぁ? んな阿呆な。ネットで調べたら出てきたって・・・ほれほれここ見てみ」

そう言って、ネット情報を印刷した用紙を駅員に見せるTさん。
その用紙には、たしかにフラッグスタッフ発、ラスベガス行き列車の時刻が書かれていた。
メガネをクイッと上げながら、見る駅員。

駅員「いや、真面目な話知らねーゾ。なんだこりゃ・・・ガセじゃねーのカ?」

アムトラックの公式ページだよ馬鹿。
とにかくこの駅員「俺は知らん」の一点張り。

駅員「通常、ここからラスベガスに行くにはバス乗っていくんだヨ。駅前の道をああ行って、こう行って、そう行けば『Greyhound(グレイハウンド)』って看板が見えるからヨ」

どうやら本気でないっぽい。

だがTさんの話によると、ネットで調べたら確かに載っていたらしい。
まったくもってどーなってるんでしょうな・・・この国はよ。

仕方なしに、そのグレイハウンドとやらに行ってみる。

駅から歩くこと15分・・・色々な店が見えてきた。
その中にグレイハウンドを発見。

中に入って発車時刻と運賃を確認。
値段は・・・三人で100ドルくらい。まぁいいか。
発車時刻は明日の朝七時半。フラッグスタッフで一泊決定。

どーでもいいが、受付の兄ちゃんエラク感じの悪いヤローだったな。

グレイハウンドを出て、寝床を探す。
ちょうどすぐ近くにMOTELがあったので、そこに決定。

管理人の夫婦だが、かなり気さくでいい感じだ。
宿賃は三人で40ドルちょいにまけてもらった。

値段の割にはかなり綺麗な部屋だった。
ベッドは二つ・・・かと思ったのだが、ソファーを変形させることにより三つに増殖。

腹が減ったので、近所を散策する。
そーいや、昨晩の激辛パンもどき以降、なんも食ってない。

周辺のレストランに片端から入ってみるが、もう閉まってたりなんとなく如何わしかったりして却下。
その中でピザ屋発見。

本場の味がどんなもんか試してみようということに。
あれ? たしかピザってイタリアンじゃなかったっけ? まぁいいや、気にすんねぇ。

店員はなんか見た目ガサツな感じのする兄ちゃん。
注文して札を渡すと、スカシを確認・・・・・ガサツな感じに反して中身はしっかりしてるね。

ピザだけでは喉に詰まるので、飲み物も購入。
2リットル入りのスプライト。蓋部分と底部分が細く、なんだかやたらとデブい感じがするので、デブちゃんと命名。
合わせて十数ドル・・・まぁ割安な方かな。

ピザが出来上り、三人でガツガツと食べる。
足りないかと思ったが、意外に丁度くらいだった。

なんだか二日ぶりの満腹気分だ・・・気のせいでないところが悲しい。

明日の朝食用にともう一枚追加注文する。相変わらずの仏頂面でスカシを確認する兄ちゃん。
お持ち帰りピザと、デブちゃんの残りを手にピザ屋をあとにする。

MOTELに戻ると、即風呂入り。
一日空けていた上に、めちゃくちゃ汗かいたので、なんか体がベトつく。

風呂あがり、さっぱりしたところでオネムー・・・・・ぐぅ。

さて、明日はギャンブルのメッカ、ラスベガス

 

(三日目に続く)

 

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