アメリカ旅行記 (五日目)

 

 

 

六日目

最終日。
って言っても、午前の便で出るから、早朝出発ですぐ出国なんだけど。

しかし、この六日目・・・俺個人についてのみ言わせてもらえれば、もっともトラブルのキツイ日だったような気がする。

朝六時起床。
荷物をまとめてチェックアウト・・・しようとしたところで、第一トラブル発生。

手続きのためフロントに向かうと、例の根性悪そうなジジイがいやがる。
さっさと鍵返して出て行こうとすると、ジジイが呼び止めてきた。なんか領収書みたいな紙をヒラヒラさせている。

怪訝そうな顔したTさんが話を聞く・・・なんか妙に険悪な雰囲気だ。

ジジイ「オイ、おまえラ税金払ってねーダロ。払えヨ」

T「ハァ? 税金? なんだそれは。金ならチェックインのとき全て払ったダロ」

ジジイ「税金含んでなかったんだヨ。あと10ドルダ。いいからさっさと払えヨ」

T「ふざけんな。そんな馬鹿な話があるカ。もう会計は済んでるんダ。ミスはそっちの責任ダロ」

ジジイ「ふざけてんのはおまえラダ。おまえラが払わないと俺が払わなきゃならねーんダヨ。いいから金出セ、ジャップ」

T「知ったことか馬鹿」

そんなこんなで、五分ばかしその場に足止め。
色々と言い合っていたが途中でTさんが、

T「あー、もういいや。こんな強欲馬鹿放っておきましょう」

無視してDAYS INNをあとにした。

いやはや、全くもって胸糞悪いことこの上ないね。
最初の5ドル増しも、奴が懐におさめていたんだろうな・・・あぁ悔しい。

あとになって思い出したが、なんだかんだで朝食もとり損ねた。

あームカつく! 地獄へ落ちろあの黒デブ!

停留所で待つこと15分ばかし。空港行きバスが来た。

四十分程で空港前に到着。
ターミナルへは、空港内専用バスに乗り換えなくてはいけないので、約20分ほど待つ。

待ってる間、停留所近くに珍しく自販機が置いてあったため、飲み物を購入しようとしたのだ・・・が。

まず一人目・・・W。
コインを入れてボタンを押すと、ウニョニョニョニョ〜とか異音を立ててペットボトルが落ちてきた。

おいおい、こいつ大丈夫か? とか心配しつつ、次にTさんがコインを投入してボタンをぷっしゅ。

すると、再びウニョニョニョニョ〜とか唸った後・・・・・出てきやがらねぇ!

ざけんなてめぇ! 出てこいやぁ! とか言いつつ、自販機をゴンゴン叩く俺ら。
更に、取り口から手を突っ込んでガタガタ揺らすと、ガコンと鈍い音を立ててペットボトルが落ちてきた。

ふーっと一息。
さて、次は俺の番である。
ここまでイカれてる自販機、普通ならばもう試そうなどとは思わないことだろう・・・が、

安さに負けマシタ

そう。この自販機、他の売店とかに比べてかなり割安だったのである。
1ドル500mlペットなんて、スーパー行かない限りはない。特に空港内なんざ、ベラボーな値段をふっかけてくるし。
しかも俺の欲しい『サンキストオレンジ』は、なぜかどこに行っても高いのだ。

と、いうわけでチャレンジャーな俺。コインを投入してボタンをプッシュ。

今度は、ウニョンと一回唸ったっきりで止まる。
おーけーおーけー・・・分かってるさ、お前が一筋縄ではいかないじゃじゃ馬だってことは・・・さ。

とりあえず、二度目の攻略パターン、腕を突っ込んでガタガタ揺らしてみるが、ウンともスンともいわない。
どうも二番煎じは通用しないようだ・・・がっでむ。

次は思いっきり体当たりをかましてみた・・・が、駄目。
ノーマル体当たりでは駄目か・・・ということで鉄山靠をかましてみるが、やはりボツ。

バスを待っている、他の客からの視線が冷たい。
品性のない馬鹿観光客に見えたんだろーなー。でも悪いの俺じゃないよ。

そんなこんなで、色々と馬鹿をやっていたら・・・まずい、バスが来ちゃったヨ。

人間、慌てると形振り構わなくなるものだ。
で、慌てた結果、思いっきり跳び蹴りをキメる俺。

ドゲシ! ウニョーン ガコン!

見事に落ちました、マイペットボトル。
やれやれと一息ついて、取り出し口からペットボトルを取り出し・・・凍りつく俺。

出てきたのは『ドクターペッパー』でした

ハイ?・・・・・・・・・・あの・・・俺のサンキストオレンジは?

いやいやいやいやいや・・・って言うかちょっと待て。
それよりなによりドクターペッパーだと?

嫌な予感がした俺は、恐る恐る自販機のメニュー一覧を見てみた・・・すると、

ドクタペッパーなんて、メニューにありません

ドクターペッパー
貴様は一体どこから現れたのだ?

腹抱えて笑い転げる他二名。
色々と納得いかなかったが、結局そのままバスに乗車。ターミナルへ向かう。

え? ドクターペッパー? 当然、ターミナルに着くなりゴミ箱へ直行です。

そんなこんなでターミナル入るなり、カウンター行きチェックイン。
時間もあまり残っていなかったので、急いで土産物を探す。

適当に、チョコとか無難なモノを買ってすます。
時計を見ると、出発まで1時間きってた。慌ててロビーに向かう。

長蛇の列。
ロビーはおっそろしいくらいに混み合ってた。

ただでさえ利用者の多いLA国際空港・・・に加えて、対テロ対策により手荷物チェックも気合い入って、結果、それだけ余分に時間がかかるというわけだ。

30分近く並び、ようやく俺らの番。

まずTさん・・・すんなりクリアー。

次にW・・・ボストンバッグのチェックにとまどるも、そのままクリアー。

で、殿は俺・・・ゲートをくぐった瞬間、

ぶっぽーん!

やばい・・・そういやベルト外してねぇよ。
慌ててベルトを外そうとする俺。

人間慌てると、挙動不審に見えるものらしい。
気の強そうなネーサンが、ちょいちょいとこっちにカモンサインを出す。

ほれ手ぇあげろや・・・みたいなこと言われて、探知機棒で念入りに身体検査を受ける俺。

次に、パイプ椅子に座らされて、靴を脱がされる俺。
靴の中まで念入りに調べられマシタ。
探知機棒と・・・なんかよーわからん、先に毛玉の付いた棒でツンツンされマシタ。

身体検査が済むと、今度は荷物を念入りに調べられマシタ。
バッグの奥に入っていたマイノートPCを取り出す検査官。
PCを変な台の上にのせると、さっきの毛玉付きの棒で何度もツンツンしてマシタ。

なんか途中から泣きたくなってきたネ・・・いやマジで。

他にも、何度も透視装置で荷物を調べられたり、なんか変な紙にサインさせられたりして、ようやく解放される。

ベルト一つで、ここまで徹底的にやられるとはね。
っていうか、俺ってそこまで怪しい人物に見えたのか? とてもショックやわ。

ゲートを抜ける頃には搭乗時間になっていた。
慌てて乗り込む俺ら。

その後は特に問題もなく、すんなり成田に着いた。

あー・・・日本に帰ってきてめちゃホッとしたわ。
アメリカみたいなアバウトな国にいると、俺みたく神経質な奴はどうにもストレスが溜まる。

何はともあれ寿司だ寿司。
日本に戻ったら、真っ先に寿司食べると決めていた俺。

油こってり文化に漬かると、むしょうに寿司が食べたくなるらしい。
・・・てなわけで、回転寿司に行ってガツガツ食べる。

 

 

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