アメリカ旅行記 (四日目)

 

 

 

四日目

ゆさゆさと体を揺さぶられる。

あーちきしょー・・・気持ちよく寝てんだ、邪魔すんじゃねーよタコ・・・などと思いながら、うとうとしつつ、シカトをきめこんでいたら、今度は思いっきり押された。

なんだなんだと、寝ぼけマナコで見上げると、すげぇおっかないツラした黒人のあんちゃんが立っていた。
クリティカルヒットだ・・・一撃で目が覚める。
あんちゃんはマックの店員だった。

あんちゃん「オイ・・・そんなとこで寝てると死ぬゼ」

みたいなことを、仰っていたそうな。
いや、死ぬって・・・『風邪ひくぜ』の間違いでは?

仕方がないのでマックを離れる。疲労のためか足元がふらつく。

時刻は午前2時くらいだったか。

あまりの眠さで、あの時のことはよく覚えてないが、Tさんらの話によると、どうもその後グレイハウンドへ向かったらしい。


ラスベガス グレイハウンド

写真を見る限り、夜中の二時だってのに、けっこう人がいたんだな。まったく覚えとらん。

切符買って、そのまま発車時刻まで、グレイハウンドの中で数時間、ウトウトとしていたようである。
時間になったら、そのままバスに乗りこみ、あとはロスに着くまで爆睡してましたとさ。

ホント、朝になったってことと、バスに乗ったってことくらいしか覚えてねぇ・・・つくづく睡眠不足に弱いな俺は。

とまぁそんなわけで、気がついたらロスに着いてマシタ。
そこそこ睡眠とれたためか、疲れも大分とれた。

ロスには着いたものの、そこがどこなのかはさっぱりワカメ。
地球の迷い方を開いて調べてみるも、全く分からず・・・やはりこいつは迷い方だな。

とりあえず、ユニオンステーションに戻れさえすれば、あとはなんとでもなるのだが。
二、三人、ホームレスが寄ってきて『道、教えてやるからなんか奢れ』みたいなこと言ってきたが、全てシカト。

まぁとにかく移動してみんべ・・・みたいなノリで、どこに行くかも分からんバスに乗車。

しばらく乗っていると、なんかどっかで見たような気がする建物群が見えた。

俺「あれ、リトルトーキョーじゃないすか?」

T「え? うそ。違いますよ、多分」

俺「えー、そっかなー・・・あれだと思うんですけど」

T「じゃ、降りてみますか?」

そんなわけで降りてみる。
その辺をしばらく歩いてみるが・・・

はいハズレ。
すみません、間違いでした。
気がしただけでした、そーりー。

その後、しばらくの間チクチクと嫌みを言われる可哀想な俺。

なんかいつの間にやら、首都高とビル街で入り組んだ、都心といった感じの場所にポツンな俺ら・・・って言うかここどこよ?


ココアどこ?

超高層ビル群の合間を歩いていると、バス乗り場が見えた。複数台が停まれる大きな停留所である。
ふと目の前に停まったバスの行き先を見て、絶句する俺ら。

リトルトーキョー行きだった。
慌てて乗り込む。

しばらく乗っていると、見覚えのあるビル群が見えてきた。今度こそ間違いない。

ようやく戻ってこられマシタ。
いやー参った参った。

何はともあれ疲れたので、すぐにホテル探し。
ロスには二泊するんで、先にチェックインして荷物を預けておこうと思ったのである。

近場で安いところ・・・ってことで、リトルトーキョー内で探してみたことろ、『ホテルダイマル』なるとこがあるらしい。

さっそく行ってみる・・・が、

高級ホテル『ミヤコ』の前に佇む、異様なオーラを放った一棟の建物。
倒産した昭和40年代の企業ビル・・・いやいや、幽霊やしき・・・いやいやいや・・・・・まぁとにかくそんな感じのタテモン。

『ダイマル』と書いてある以上、ここで間違いあるまい・・・多分。
とりあえず中に入ってみる。階段上って二階へ直上がり。

ドアを開くとなんともいえない、微妙な・・・・・臭いと書いても『におい』と読んであげよう。
とにかくキチャナイ・・・何はともあれキチャナイ。

管理人部屋らしきとこでは、白黒TVからクラスチェンジして間もない頃のカラーTVが、ガーガーと唸っている。

しばらくそこで突っ立ってると、客らしきにーちゃんが上から降りてきた。
『すんません、泊まりたいんですけど・・・』と伝えると、奥に向かっておっきな声で叫ぶにーちゃん。
どうも『客だぜおばちゃーん!』みたいな意味だったようだ。

すると少ししてから『はいはいはいー!』とか言いつつ気合を入れながら、疲れた感じの中年おばちゃんが出てきた。

日本人か?
いや違う。どこか何かが違う気がする。訛りはともかくとして、リトルトーキョー住まいの日本人にしては文法がかなり曖昧だ。
多分、台湾とか香港とかそっち系統かな・・・間違ってたら御免なさい。

おばちゃん「はい、三人? 何泊? ここいいホテルよ」

ウムを言わさぬ口調でちゃっかり自画自賛。
いや・・・いいホテルかどうかを決めるのは俺達だから。

とりあえずTさんが冷静に一言。

T「三人で一泊いくら?」

これだけの汚さだ・・・いくらなんでも50は越えまい・・・と思っていたんですケド。

おばちゃん「はい、三人で一泊・・・・・75ドルね」

舐めるなババア! どこがいいホテルやねん!

どうもワンルーム単位ではなくて、人数単位で換算されてるようだ。つまり一人一泊25ドル。
個人ならば、まぁちょいと高いですむくらいだが、人数が多くなると、洒落にならんくらいの高級オンボロホテルになる。

それでは御縁がなかったということで・・・みたいな感じで、控えめに出て行こうとする俺らに対し、なんか色々とブツクサ文句垂れてたな、あのババア。

余談だが、ネットで検索かけてみたところ、似たような経験されていらっしゃった方がいマシタ。
ここをクリック

こちらは実際に泊まられたようで、なかなか興味深い。
これぐらいぶっ飛んだ人なればこそ、あのビックリハウスにも馴染めるのだろう。

ダイマルを出て、チャイナタウンの方へ向かう。

適当に歩いていると、チャイナタウンの入り口付近で『DAYS INN』なるホテルを発見。
なんとなく高そうな感じのとこだったが、一応念のため、入って値段を聞いてみる。

フロントには人のよさそうなおじさんが一人。

さっそく料金を聞くと、ワンルーム一泊80ドル弱だそうな。
我々の予算からいって、かなり高い部類にはいるが、まぁ綺麗なとこだし朝食もつくってことで半々納得。
少なくとも、ダイマルなんぞに泊まるよりかは一億倍マシだわな。

とりあえず他によさげな場所が見つからなかったら、ここにしようってことで出る。

町外れに行けば、モーテルがあるやもしれん・・・てことで、少し都市部を離れてみようということになった。
ユニオンステーション内のメトロに乗って、デデコーンと十数分移動。
適当なとこ・・・『パサデナ』で降りる。

この頃には、もう辺りは真っ暗になっていた。

駅周辺を探索・・・するが、なんにも見つからない。
駅から離れて、商店街、町外れ、大通り沿いなど、色々なとこを回ってみるが全て空振る。

しまいにゃ、迷い方に載っているホテルを片端からあたってみたが、全て高級ホテルだった・・・おのれ。

簡単に書いてしまったが、ここではエライ苦労させられた・・・それこそ書くのが嫌になるくらいにね。

散々歩き回った結果、結局『DAYS INN』へ戻ることになる。
駅に戻るのも一苦労・・・一時間近く迷った挙句に、ようやく駅に戻る。

メトロでダウンタウンへ。
着く頃にはもう日が変わっていた。

疲れ果てた体で、やっとこさDAYS INNへ着く。
フロントに行くと、あの人のよさげなおじさんはおらず、見るからに性格と根性がひん曲がっていそうな感じのジジイがいた。

T「泊まりたいんだけド、ワンルームで二泊ヨロシク」

ジジイ「一泊85ドルダ。二日なら170ドル」

おい・・・なんか値段が上がってないか?
かなりむかついたが、疲労には勝てず・・・それでチェックイン。

いやいや、高いだけあって部屋は綺麗だ。
ベッドは二つだけだったので、くっつけて雑魚寝。

疲労がピークにきてたので、その後は風呂入ってすぐ寝た・・・・・ぐぅ。

 

(五日目に続く)

 

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